「婦人科と精神科、どちらを受診すればいいですか?」開業して感じたこと
四ツ谷レディスクリニックメンタルプラスで精神科・心療内科の診療を始めてから、強く感じることがあります。
それは、
「自分の症状は、婦人科に相談すればいいのか、精神科に相談すればいいのかわからない」
という女性が、とても多いということです。
実際の診療でも、
「生理前だけ気分が落ち込みます」
「イライラがひどくて、自分でも抑えられません」
「更年期なのか、うつなのかわかりません」
「眠れないのですが、ホルモンの影響でしょうか」
「婦人科で相談する内容なのか迷っていました」
といった相談をよく受けます。
女性の心と体は、きれいに分けられません
医療では診療科が分かれています。
婦人科、精神科、心療内科、内科。
しかし、実際の人間の体は、診療科ごとに分かれているわけではありません。
特に女性の場合、月経、妊娠、出産、産後、更年期など、ホルモンが大きく変化するタイミングがあります。
その変化によって、
・気分の落ち込み
・イライラ
・不安
・不眠
・強い眠気
・集中力の低下
・動悸
・倦怠感
など、心と体の両方に症状が現れることがあります。
そのため、
「精神的な症状があるから精神科」
「月経に関係しているから婦人科」
と、単純に分けられないケースは少なくありません。
例えば、生理前の強いイライラや落ち込み
月経前になると気分が不安定になる場合、PMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)が関係している可能性があります。
この場合、婦人科でホルモン治療を検討することもあれば、精神科・心療内科で症状に応じた治療を検討することもあります。
症状や背景によっては、その両方の視点が必要になります。
更年期も同じです
40代以降の女性で、
「急に不安が強くなった」
「眠れなくなった」
「気分が落ち込む」
「何もやる気が起きない」
という場合。
更年期に伴うホルモン変化が影響していることもありますし、うつ病や不安症など精神科領域の疾患が隠れていることもあります。
反対に、
「精神科の病気だと思っていたけれど、婦人科的な治療によって症状が改善した」
ということもあり得ます。
では、どちらを受診すればいいのでしょうか
これは、患者さん自身が最初から判断する必要はないと思っています。
むしろ、
「どちらに行けばいいかわからない」
ということ自体が、ごく自然なことです。
診療する側が症状を聞き、
「婦人科的な評価が必要なのか」
「精神科的な治療が必要なのか」
「両方から診た方がいいのか」
を整理することが、本来の医療の役割です。
開業して、この問題を以前より強く感じるようになりました
精神科の診療を始めてから、
「もっと早く相談すればよかった」
「婦人科に行けばいいのか精神科に行けばいいのかわからず、ずっと受診できなかった」
という話を聞くことがあります。
医療者側からすると、それぞれの診療科の役割はわかっています。
しかし患者さんにとっては、必ずしもそうではありません。
ましてや、気分が落ち込んでいたり、不安が強かったりする状態で、自分の症状を整理して受診先まで判断するのは簡単なことではありません。
私は、婦人科と精神科・心療内科を併設して診療するようになってから、そのことをより強く実感するようになりました。
「どちらかわからない」状態で受診して大丈夫です
生理前の不調。
産後の気分の落ち込み。
更年期の不安や不眠。
原因のわからないイライラや倦怠感。
こうした症状は、婦人科と精神科の境界にあることがあります。
ですから、
「これは婦人科ですか?精神科ですか?」
と悩み続ける必要はありません。
まず相談していただき、必要であれば婦人科と精神科、それぞれの視点から考えていけばいい。
私自身、開業後の診療を通して、
女性の心と体を別々に診るのではなく、必要に応じて両方から考えられる場所が必要だったのだ
と感じています。
「どちらを受診すればいいかわからない」
そんな時点からでも、相談していただければと思います。
四ツ谷レディスクリニックメンタルプラス
院長 小林遼太郎